医学部小論文の頻出キーワード『EBMとNBM』

EBM(Evidence based medicine)とは

近頃はビジネスなどの分野でも「エビデンス」というカタカナ語が使われるようになりましたが、”Evidence”とはとどのつまり「根拠」のことです。従って”Evidence based medicine”は「根拠に基づいた医療」と訳されています。意味合いとしては「根拠」というよりも「証拠」という言い方のほうがより正確であるとも言われています。

従来の医療では、それぞれの医師による経験に依存してきたところがあり、医療ががこれまでに蓄積してきた科学的な知見が十分に効率よく利用されることはそれほど多くありませんでした。このことに対する反省から、科学的知見の蓄積とそれによる根拠づけによって、より品質の高い医療を提供していこうというのが、EBMの基本的な考え方です。

NBM(Narrative Based Medicine)とは

“Narrative”とは「物語」のことです。つまり”Narrative Based Medicine”とは物語に基づいた医療と訳すことができます。物語の語り手となるのは患者自身です。医師は患者の語りを引き出すことに努めます。

NBMは、患者が語る「なぜ病気になったのか」、「どのような症状なのか」、「病気についてどう感じているか」といったストーリーを基に、患者が抱える問題をあらゆる面から把握したうえで、治療方法を考えて行きます。患者と医療従事者が対話を通じて良い関係を築いて行き、双方の満足が行く治療を行うことが目的となっています。

NBMの考え方は、従来の医療がEBMを重視してきた結果、良い医療を行なっても、患者の満足度が上がらず、医療従事者もやりがいや達成感を感じづらかったというジレンマを解消させるものです。