医学部二次試験対策『小論文の書き方』第二回

前回の続きで、今回も小論文を書く際の注意点を見ていきましょう。

小論文を書く際に注意すること

文体を統一する

文体には「です・ます」と「だ・である」の2種類があることは、ご存知かと思います。

小論文では、「だ・である」の文体で統一するとよい。その方が、自身の考えを強調できるのだ。

どうですか?なんとなくわかるかと思います。

ら抜き言葉を使わない

近年「ら抜き言葉」を使う人が増えている、と言われています。言葉というものは時間とともにその時代の人々が使いやすいように変化するので、それ自体は問題のないことでしょう。しかし、いまはその変遷の途中です。小論文では、「ら抜き言葉」は控えた方がよいかと思われます。

一人称は「私」

当然、「私」です。ひらがなではなく漢字で表記しましょう。

話し言葉は使わない

「けど」や「あと」など、近しい人との会話で使用する際には問題ないものでも、小論文では使用しない方がよいでしょう。適切な接続詞を使いましょう。

字数

「~字以内」という指定がありますが、必ず8割以上(理想は9割以上。可能ならば最終行まで)書くようにしましょう。9割を超えると、『筆者は文章をまとめるのがうまい』と好印象をもってくれる可能性が高いです。

さて、基本的な注意事項は以上になりますが、いかがでしたか。当たり前にできている人はもちろんいらっしゃいますが、文章を書くのが苦手な人、頻繁には書かない人は、こうしたことを気を付けながら、文章を書くようにしましょう。

続いては、内容の書き方について、触れていきます。 ここではまず、テーマの決め方について、見ていきましょう。

テーマの決め方

小論文を書く際には、課題が出され、それについて書くことになります。その課題についても種類があるので、場合ごとに分けて考えていきます。

二者択一の課題設定

よくあるのは、賛成か反対かを問うものです。たとえば、 『看護婦ではなく看護師と呼ばなければならないことについて、あなたが賛成か反対か意見を述べなさい』 という課題が出されたとします。

この場合、まずはあなたの立場で考えましょう。 「『婦』と限定されることで、男女差別につながる」 とあなたが思うのならば、賛成。 「男を『看護師』と呼んで、女は『看護婦』のままでいいじゃん」 と思うのならば、反対(寄り)となります。 このように、まずは立場を決定し、そうして『なぜそう思うのか』を 具体的に考えていきましょう。

ちなみに、「どっちでもいいじゃん」という中庸は、不可能です。課題文には、明確に『あなたが賛成か反対か意見を述べなさい』と書かれているので、 賛否の立場を明確にしていない時点で、課題を理解していないということになります。 必ず、立場を決定してください。

キーワードが一つの課題設定

たとえば、『義務教育についてあなたの考えを述べよ』 という課題が出たとします。 この課題におけるキーワードは『義務教育』。「別に義務にする必要はない」とあなたが考えれば、 それを軸に論を展開していきます。

キーワードが二つの課題設定

上と似ていますが、難易度が大きく変わります(その分、滅多にみられませんが)。 たとえば 『子どもの権利と親の義務について、あなたの考えを述べよ』 という課題だったとします。 この場合は、『子どもの権利』と『親の義務』の二つのキーワードを 見てとてるかと思います。 この二つをうまく絡めていかなければなりません。 『子どもの権利は、親の持つ義務の上に成り立つ』などのように、 二つを同時に示すことが必要となります。 ……難しいですね。

資料や課題文がある場合

この場合は、もっとも重要と思える語句をキーワードとして提示します。 資料が表であればその特徴を、文章であれば、その文章が訴えているものを テーマとして端的に一文で提示するとよいでしょう。

テーマ決めだけでも難しいように思えるかもしれませんが、要は、 いずれも、最も重要なものを提示するということです。 賛否択一ならば、立場を明確に。 一つのキーワードならば、それに対するあなたの意見を。

二つのキーワードならば、それらを同時に。 課題文・資料ならば、重要項目・結論を。慣れもあるので一概にうまくいくとは思えませんが、 分類してそれぞれの課題設定による考え方の違いは、覚えておいて損はないかと思います。

本文の書き方

今度は本文についてみていきましょう。とはいえ、難しいことはありません。テーマを軸に、論を展開すればよいだけです。起承転結ではありませんが、まずは4段落構成で考えていきましょう。

第1段落

さきほど決めた、テーマを書きます。 あなたの主張を最初に挙げておけば、論が一貫性を失いそうになったとしても、立ち直りやすくなります。

第2段落

テーマの根拠、なぜそう考えるのかを具体例や体験で述べていきます。ただし字数は限られているので、もととする具体例や体験はひとつ、せいぜいふたつに絞りましょう。

第3段落

第2段落をもとに、その体験・具体例から何を考えたのか、第1段落のテーマにつながるように考察していきます。

第4段落

テーマをさらに発展させることが望ましいですが、難しければテーマを繰り返します。 テーマを繰り返す場合は、言葉を変えるとよいでしょう。

小論文は物語ではないので起承転結ではありませんが、 このような構成を目指すとよいかと思います。ただ医学部の小論文では、多くても800字以内という課題が多いので、 その場合は第2段落の具体例・体験をひとつにし、第3段落と合わせてひとつの段落とします。

また、書き始める前に、おおまかな流れをメモしておくことを、わすれないでください。

医学部二次試験対策 『小論文の書き方』

こんにちは。

いまだ寒い日が続いておりますが、体調の方は如何でしょうか。このような日は、コタツに入って温かいものを食べたいものです。

さて、前回まではしばらく医療系の用語に関するテーマで書いてきましたが、今回は久しぶりに入試に関することを書かせていただこうと思います。

タイトルにある通り、小論文の書き方についてですが、まだ1回目ということもあり、本当に基本的なことから、書かせていただきます。基本的なことはちゃんと把握している、という方も、確認のために、目を通してみてください。

基本的な注意点

小学校で文字を習ってから、皆さんは幾度も原稿用紙に文章を書いてきたことだと思います。作文・読書感想文などなど。しかし、書き方自体をじっくりと教わる機会は少なかった(あるいはなかった)のではないでしょうか。

当然、原稿用紙の使い方にもきまりはあります。いくつかの基本事項を見ていきましょう。

書き始めや、段落を変えるときには、1マス明ける

時々、マスを開けずに書き始めている人がいます。また、明らかに改行しているにも関わらず、次行の頭が1マス空いていない人もいます。必ず気をつけましょう。

記号は使わない

メールやブログ記事などの癖で、「!」や「?」といった記号を思わず使ってしまいがちですが、真面目な内容を書く小論文では、ます、使用することはありません。(課題文などの抜粋部分に、これらの記号が使われていれば、話は別ですが)

ふりがなは付けない

こちらも時々、原稿用紙の横(あるいは上)の行間にふりがな付けている人が見られます。しかし、つけてはいけません。当て字のような漢字を使って、それを読ませたいと思うかもしれませんが、そもそも当て字は使わない方が吉です。

句読点やカギかっこは、それぞれ1マス使う

行末にこれらが来た時に限り、文字と一緒に書いてもかましません。しかし、そうでない場合は、必ず1マス使います。

間違いは消しゴムで

斜線や二重線で訂正する人もいますが、鉛筆やシャーペンで書いてある以上、ミスは必ず消しゴムで消して書き直してください。そうした訂【正方法は、ボールペン等の消すことの出来ない筆記具で書いたときのみで、その場合も、訂正印を押すのが社会のマナーです。

以上が、原稿用紙自体に関する注意点です。このくらいのことは、おそらく小学校の国語のカバー内ですので、みなさんもご存じのことでしょう。

忘れていたという人は、いま、覚えなおしておくとよいでしょう。

小論文の中身に関して注意すること

では次に、中身に関することに触れていきます。

題名は不要

小論文に題名は必要ありません。たとえば、『~について、あなたの考えを800字以内で述べよ』という設問文があるのに、『~についての私の考え』というタイトルは、明らかに不要です。

漢字の間違い

近年は携帯電話やパソコンに頼ることが多いため、漢字の間違いが目につきやすくなっています。これは大人の人もそうなのですが、読むことはできても書くことは難しい、という人が増えているようです。以前とても驚いたのは、幸福という字を辛福と書いていた人がいたことです。一瞬、違和感はあっても何が違うのかわかりませんでした。それはいいとして…

書いてみて何か違和感を感じたら、それは間違っている可能性が高いと考えてよいでしょう。

数字の書き方

横文字の文を読む機会が多いので、数字はそのまま書きがちになってしまいます。ですが、『平成25年』を縦に書いてみてください。





おかしいでしょう?





漢数字を使うようにしましょう。記号のように、課題文のなかにそのような表記があれば、例外として使ってもよい場合もあります。

さて、長くなってしまいましたが、他にも注意すべき点はあります。よって、次回に、この続きを見ていくことにしたいと思います。

それでは。