金沢医科大学平成30年度医学部入試の変更点について

金沢医科大学の来年度(平成30年度)入試に関して変更が発表されました。

一般入試において後期試験が新たに実施されます。こちらの募集定員10名です。
これまでの入試は「一般入試前期」とされなす。募集定員で65名は前年度から変更はありません。

一般後期試験の1次試験は2月中旬の予定になっています。。
また、1次試験会場は金沢医科大学と合わせて東京会場も予定されています。

またAO入試に関しても変更があります。募集定員が15名から27名に増え、試験の内容も少し変更されるとのことです。
公募制推薦入試は廃止され、金沢医科大学の推薦入試は指定校推薦入試のみとなります。
詳細については金沢医科大学のHPよりご確認ください。

医学部入試情報|金沢医科大学

「平成28年度各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果」について

各大学の国家試験結果を見ると、大学によって合格率に差が見られます。ご自身の進路に関して参考になれば幸いです。

大学名 “H22年4月
入学者数”
平成28年3月新卒合格者数(編入学者及び修業年限超過がある学生を除く) 最低修業年限での第109回国試合格率
1 北海道大学 60 45 75.00%
2 東北大学 60 46 76.70%
3 東京医科歯科大学 55 43 78.20%
4 新潟大学 40 30 75.00%
5 大阪大学 62 40 64.50%
6 岡山大学 55 38 69.10%
7 広島大学 55 36 65.50%
8 徳島大学 40 24 60.00%
9 九州大学 56 35 62.50%
10 長崎大学 50 26 52.00%
11 鹿児島大学 56 31 55.40%
国立大学合計 589 394 66.90%
12 九州歯科大学 95 71 74.70%
公立大学合計 95 71 74.70%
13 北海道医療大学 48 14 29.20%
14 岩手医科大学 42 12 28.60%
15 奥羽大学 32 11 34.40%
16 明海大学 95 29 30.50%
17 東京歯科大学 128 95 74.20%
18 昭和大学 103 65 63.10%
19 日本大学 128 69 53.90%
20 日本大学(松戸歯学部) 97 24 24.70%
21 日本歯科大学 128 61 47.70%
22 日本歯科大学(新潟生命歯学部) 58 23 39.70%
23 神奈川歯科大学 76 25 32.90%
24 鶴見大学 76 10 13.20%
25 松本歯科大学 35 17 48.60%
26 朝日大学 106 28 26.40%
27 愛知学院大学 128 74 57.80%
28 大阪歯科大学 128 51 39.80%
29 福岡歯科大学 81 28 34.60%
私立大学合計 1489 636 42.70%
国公私立大学合計 2173 1101 50.70%

(文部科学省医学教育課調べ)
※出典(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/07/22/1324090_5.pdf)

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私大医学部学費ランキング

※募集要項などを参考に作成いたしました。内容については変更になる可能性があります。必ず各大学の募集要項等でご確認ください。

順位 大学名 総費用
30 順天堂大学 ¥21,127,800
29 慶應義塾大学 ¥21,759,600
28 自治医科大学 ¥22,600,000
27 東京慈恵会医科大学 ¥22,810,000
26 昭和大学 ¥23,092,000
25 東邦大学 ¥26,297,800
24 日本医科大学 ¥27,997,800
23 関西医科大学 ¥28,140,000
22 東京医科大学 ¥29,773,700
21 産業医科大学 ¥30,697,800
20 大阪医科大学 ¥32,075,000
19 日本大学 ¥33,100,000
18 東京女子医科大学 ¥33,416,000
17 東北医科薬科大学 ¥34,007,800
16 聖マリアンナ医科大学 ¥34,732,000
15 岩手医科大学 ¥35,286,000
14 東海大学 ¥35,306,200
13 近畿大学 ¥35,827,000
12 久留米大学 ¥36,378,000
11 藤田保健衛生大学 ¥36,926,000
10 獨協医科大学 ¥37,300,000
9 帝京大学 ¥37,504,090
8 杏林大学 ¥37,550,700
7 兵庫医科大学 ¥37,600,000
6 福岡大学 ¥37,738,260
5 愛知医科大学 ¥38,000,000
4 埼玉医科大学 ¥39,170,000
3 北里大学 ¥39,528,000
2 金沢医科大学 ¥40,543,000
1 川崎医科大学 ¥47,165,000

医学部入試小論文の頻出ワード『混合診療』

混合診療とは…

保健で認められている保険診療と、認められていない保険外診療(自由診療)を組み合わせた診療のことです。通常、3割負担である保険適用部分も自費診療扱いになり、治療費は患者の全額負担になる。日本では、混合診療は原則禁止されているが、例外として、認める対象を大きく広げる患者申出療養制度が2016年4月に実施されました。

保険外診療である先進医療を患者が行いたいと考えた場合、以前は病院側の判断で申請していましたが、新しい制度ではまず患者の希望を受けてから病院が申請します。また、リスクの低い治療なら全国およそ400か所の医療機関で受けられるようになります。混合診療を認めるかどうかの個別の審査も、国内初の症例なら6週間、すでに症例があるものなら2週間で結論を出すようにしてスピード化をはかります。

混合診療の拡大が進めば、患者の選択肢が増え、新薬や医療機器の市場を拡大することが期待されています。そのためには、医師が治療内容や安全性、有効性を充分に患者に説明した上で、患者が理解して納得することが必要です。

混合診療解禁によって科学的根拠のない治療法が助長される恐れがあるうえに、今後生じてくる新たな医療が自由診療に含まれたりするようになる可能性もあります。もしそうなれば、混合診療を解禁することが結果的には患者の負担増を招き、医療格差の拡大につながりかねません。つまり、お金のある人だけが、よい医療を受けられるという状況になることも否定できないでしょう。

医学部入試小論文の頻出ワード『脳死・臓器移植』

脳死とは

かねてから、人の死を決定付けるのは心臓の停止だとする考えが当たり前でした。呼吸の停止、心拍の停止、瞳孔の拡大の三つのいわゆる三兆候説と呼ばれるものです。医師が死亡確認の際に呼吸、脈拍、対光反射の消失を確認することはこれに由来しています。

しかし、交通事故などで脳に大きな損傷を受けて、脳の機能が不可逆的に停止する場合があります。つまり、人工呼吸器などの生命維持装置で生かされている状態です。この状態を脳死といいます。

臓器移植とは

臓器移植とは、病気や事故などで臓器が機能しなくなった場合に、他人や他の動物の健康な臓器を移植することをいいます。さらに、臓器の提供者をドナーといい、臓器を受容する者をレシピエントといいます。ドナーが生きていれば生体移植、死んでいれば死体移植といいます。

臓器移植の目的は、ひとりでも多くの患者の苦しみを緩和して、尊い生命を救うことにあります。しかし、未だに問題点も多いです。まず、脳死判定の正確性や安全性に問題が残ること。そして、人体を機械の部品のように扱うことで臓器売買が行われ、生命倫理上の問題があること、とくに子供は臓器売買に関するビジネスや犯罪に巻き込まれやすいこと。さらに臓器が欲しくて患者の延命治療を積極的に行わない医療現場の風潮が生まれる可能性があること。このような問題が挙げられます。

旧臓器移植法の問題点

日本では1997年、臓器移植法が成立し、臓器移植を前提にした場合のみ、脳死判定によって脳死を人の死と認め、臓器移植が可能となりました。これによって、脳死体から臓器移植をすることで、多くの患者を救うことにつながる道が拓けたといえます。

ただし問題点もあります。同じ脳死状態であっても、臓器移植を前提にした場合は、脳死判定を経て患者は死んでいることになります。しかし臓器移植を前提としない場合は、患者は生きていることになり、心臓の停止によってはじめて死んだことになります。つまり、2つの死が存在する結果になったのです。また、患者本人による書面での臓器提供の意思表示と家族の同意が必要だったり、15歳未満の者からの臓器提供や、親族への臓器の優先提供は認められないという事情から、臓器移植があまり進見ませんでした。実際、2009年の春までに行なわれた臓器移植は約80名にとどまっています。

新臓器移植法の改正点

2009年、なかなか進まない臓器移植を増やす方向で臓器移植法が改正され、以下の4つの点が大きく変わりました。

1つ目は、臓器移植の場合という条件を撤廃し、一律に脳死を人の死とするようになりました。2つ目は、患者本人の書面による意思表示を不要とし、患者本人が拒絶しない限り、家族の同意のみで臓器摘出が可能となりました。3つ目は、臓器提供者の年齢制限を撤廃し、15歳未満の者からの臓器移植も可能となりました。4つ目は、親族への優先提供が認められるようになりました。

臓器を待つ患者の立場から見ると、よい方向に改められたといえますが、患者の意思表示を不要するという点については、脳死状態にある患者の人権が軽視されかねないため、今後さらなる議論の余地が残されています。また、患者本人の書面による意思表示が不要となったことで、家族が臓器提供に同意するかどうかの判断をしなければならず、大きな精神的負担を強いることになると批判されています。

また、旧法では臓器提供を受けるのは、移植ネットワークによって作成された移植待機者リストの順番に従って決定されており、脳死患者の親族への優先的な臓器移植は認められていませんでした。改定後は脳死患者の親族に対して、臓器移植が必要であれば優先的に提供がなされることになりました。

医学部小論文の頻出キーワード『EBMとNBM』

EBM(Evidence based medicine)とは

近頃はビジネスなどの分野でも「エビデンス」というカタカナ語が使われるようになりましたが、”Evidence”とはとどのつまり「根拠」のことです。従って”Evidence based medicine”は「根拠に基づいた医療」と訳されています。意味合いとしては「根拠」というよりも「証拠」という言い方のほうがより正確であるとも言われています。

従来の医療では、それぞれの医師による経験に依存してきたところがあり、医療ががこれまでに蓄積してきた科学的な知見が十分に効率よく利用されることはそれほど多くありませんでした。このことに対する反省から、科学的知見の蓄積とそれによる根拠づけによって、より品質の高い医療を提供していこうというのが、EBMの基本的な考え方です。

NBM(Narrative Based Medicine)とは

“Narrative”とは「物語」のことです。つまり”Narrative Based Medicine”とは物語に基づいた医療と訳すことができます。物語の語り手となるのは患者自身です。医師は患者の語りを引き出すことに努めます。

NBMは、患者が語る「なぜ病気になったのか」、「どのような症状なのか」、「病気についてどう感じているか」といったストーリーを基に、患者が抱える問題をあらゆる面から把握したうえで、治療方法を考えて行きます。患者と医療従事者が対話を通じて良い関係を築いて行き、双方の満足が行く治療を行うことが目的となっています。

NBMの考え方は、従来の医療がEBMを重視してきた結果、良い医療を行なっても、患者の満足度が上がらず、医療従事者もやりがいや達成感を感じづらかったというジレンマを解消させるものです。

医学用語 漢字テスト

これから挙げる問題は、実際に使われる医学用語の読み方についてです。

某大学でこの調査が行われたところ、正答平均点は20/60点前後だとか。さて、あなたはどのくらい読むことができるでしょうか。

  1. 網膜
  2. 靭帯
  3. 糸球体
  4. 腸間膜
  5. 胆嚢
  6. 麻痺
  7. 脊髄
  8. 気胸
  9. 痙攣
  10. 頸動脈
  11. 徐脈
  12. 耳介
  13. 亢進
  14. 疾病
  15. 胸腔
  16. 喘息
  17. 血漿
  18. 腰椎
  19. 口蓋
  20. 癒合
  21. 脛骨
  22. 側弯
  23. 腱鞘
  24. 照射野
  25. 僧房弁
  26. 気瘤
  27. 頭蓋
  28. 狭窄
  29. 剖検
  30. 尾椎
  31. 芽細胞
  32. 濾過
  33. 乾癬
  34. 鼻漏
  35. 乏尿
  36. 腓骨
  37. 外顆
  38. 膝蓋骨
  39. 腎盂
  40. 上顎
  41. 灰白質
  42. 腋窩
  43. 腹腔
  44. 吻合
  45. 会陰
  46. 跛行
  47. 橈骨
  48. 肩峰
  49. 嚥下
  50. 褥瘡
  51. 頬骨
  52. 腹臥位
  53. 造瘻
  54. 眩暈
  55. 塞栓症
  56. 罹患
  57. 蠕動
  58. 仰臥位
  59. 踵骨
  60. 穿刺
  1. もうまく
  2. じんたい
  3. しきゅうたい
  4. ちょうかんまく
  5. たんのう
  6. まひ
  7. せきずい
  8. ききょう
  9. けいれん
  10. けいどうみゃく
  11. じょみゃく
  12. じかい
  13. こうしん
  14. しっぺい
  15. きょうくう
  16. ぜんそく
  17. けっしょう
  18. ようつい
  19. こうがい
  20. ゆごう
  21. けいこつ
  22. そくわん
  23. けんしょう
  24. しょうしゃや
  25. そうぼうべん
  26. きりゅう
  27. とうがい
  28. きょうさく
  29. ぼうけん
  30. びつい
  31. がさいぼう
  32. ろか
  33. かんせん
  34. びろう
  35. ぼうにょう
  36. ひこつ
  37. がいか
  38. しつがいこつ
  39. じんう
  40. じょうがく
  41. かいはくしつ
  42. えきか
  43. ふくくう
  44. ふんごう
  45. えいん
  46. はこう
  47. とうこつ
  48. けんぽう
  49. えんげ
  50. じょくそう
  51. きょうこつ
  52. ふくがい
  53. ぞうろう
  54. めまい
  55. そくせんしょう
  56. りかん
  57. ぜどう
  58. ぎょうがい
  59. しょうこつ
  60. せんし

ちなみに、『上顎』『頬骨』はそれぞれ『うわあご』『ほおぼね』という読み方も間違いではありませんが、医学では『じょうがく』『きょうこつ』と読まなければならないそうです。

普段使わない分、なかなか難しかったかと思いますが、医師であれば知っていなければいけないことなのでしょうね。

医学部小論文頻出ワード『医師不足』第三回

業務量増大に対する医師不足

近年、インフォームド・コンセント*1など、患者の権利と自己決定権を尊重する傾向が高まっており、あらゆる処置や検査のために、医師が患者にリスクとメリットを説明されることが求められるようになった。さらに、規制強化による文書類の増大化が進み、これもまた、医師の過剰労働の原因のひとつとなっている。

*1 Informed Consent
「正しい情報を得た(伝えられた)うえでの合意」を意味する。医療行為や治験などの患者・被験者が、治療や臨床試験の内容についておく説明を受け、十分に理解したうえで(Informed)、自らの自由意思に基づいて方針について合意する(Consent)ことである。

当然、説明を受けたうえで拒否することも可能となる。

説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果だけでなく、代替治療や副作用、成功率、費用なども含んだ、正確な情報が与えられることが望まれる。

また患者・被験者側も納得するまで質問し、説明を求めなければならない。

(英語の本来の意味としては、あらゆる法的契約に適用される概念だが、日本語で用いる場合は、医療行為に対してしようされる)
集約化不足による医師不足

日本は国土が狭く、中核の病院から100㎞以上の距離にある場所は少ない。ただし、同様の理由で国民の距離感覚は短いことがもっぱらであり、100㎞圏内・2時間圏内に中核病院があったとしても、病院が遠すぎる、あるいは病院がないと認識してしまうことが多い。

その結果、小規模の医療機関に小数の医師が分散し、各機関での医師の補充を難しくしているといえる。

前回まで医師不足の原因について、いろいろと見てきました。いろいろなメディアで、医師不足が叫ばれていますが、その実態についてはなかなか知られなかったと思います。

さて、今回は、その医師不足についての対策を見ていきます。現在行われている対策は全部で5つ。どのようなことが、行われているのでしょうか。

医師不足への5つの対策

1.医学部増員

厚生労働省は、医師不足対策の一環として、国立大学医学部の入学者を増員することを予定しています。しかし、卒業生が現場で働けるようになるまでにはかなりの年数を擁し、即効性はあまり期待できないのが現状です

2.女性医師の待遇改善

医師不足の原因にもあげましたが、女性医師が増えているとはいえ、その待遇に満足できる状況でないことも確かです。
出産・育児ののちに、女性医師が再び現場に復帰しやすいような環境、あるいは、両立できるような環境作りが模索されています。しかし、医療現場の現実はこれまで述べたように厳しく、改善に向かうことは、すぐには期待できそうにありません。

3.外国人医療従事者の招致

近年、医師や看護師を外国、特に途上国から招致しようという動きがあります。しかし、日本で医師免許を取得するためには、日本語で国家試験に合格できるレベルの語学力が必要となります。

また国家試験を受ける前にも、日本語能力試験や日本語診療能力試験に合格するなど、ハードルは多くあります。アメリカの医師免許であるUSMLEは、世界50か国に受験会場がありますが、日本の医師免許にはそのような整備がされていないなど、制度上の遅れもまた、存在しています。

経済的理由もあります。2008年にアメリカで行われた調査によると、アメリカの看護師の平均給与は年間65,130ドルであり、現在のレートで日本円に計算すると、年間612万円となります。対する日本では、平成22年の調査で469万円が平均年収となっています。このような給与差があるため、他国の看護師が日本を移住先としてあえて選ぶことは少なくなるのです。

4.コメディカルの活用

和製英語で、Co-medical(英語ではparamedic)とつづります。これは、医師の指示のもとに業務を行う医療従事者を指し、コメディカルスタッフとも呼ばれています。

医師の業務の多様化に伴って、医師業務の一部を看護師・介護士・事務員・検査技師などが代行できるような制度改革が検討されています。しかし、一部の公立病院などでは正規雇用の事務員や看護師の方が長時間の超過勤務をしている非正規雇用の医師よりも実態の時給が高いため、コメディカルに医師の仕事を一部代行させることは、病院経営の上では、不利となってしまいます。

5.医師の需給規制

現在、医師の計画配置の提案がされています。

たとえば…

開業医の一時的病院勤務の義務化
院長になるための条件として、僻地勤務経験の義務化
産婦人科・小児科の研修の義務化
各診療科ごとの定員設定

上記のような内容です。

しかしながら、以下のような懸念も、同時にあります。

赤字経営の開業医のさらなる負担
技能習得のための、数年の他科勤務は現実的ではない
これまで以上の負担は、医療職希望者の減少につながる
医籍登録は都道府県単位で行われており、県を越えた保険診療ができない

したがって、医師の計画配置は難しいというものです。ただし、最後の医籍登録に関しては、その規制を取り払うことで、
計画配置の必要性も低減するかもしれません。